お手入れ

洋服との付き合い方
- ヨゴレの対処法編 -

昨今、家庭用の洗濯機や洗剤の進化にともなって、ご自宅で洗えるコンセプトの衣類が増えつつあります。例えご自身で洗えるものであっても、デリケートな生地や色物の衣類はダメージや色落ち等が心配で、ご自宅でのお手入れを躊躇してしまう方が多いのではないでしょうか。

そこで今回のARMANI Tipsでは、ご自宅でもお手入れできるものの見極め方、ヨゴレやシミなどの適切な対処法を詳しくご紹介いたします。

まずはじめに、ヨゴレやシミには大きく分けて皮脂や汗などの水溶性と、食事やファンデーションなどの油溶性があります。ヨゴレやシミの性質によって対処法が異なるため、ヨゴレやシミの種類を見極め、適切なお手入れをしましょう。

ヨゴレ、シミの種類

ヨゴレ、シミの種類

■水溶性

汗などの水溶性のヨゴレは水洗いが一番落ちます。特にヨゴレやすい袖口や肌に直接触れる襟回り等は水洗いする前に部分手入れ(前処理)をしてから洗うとヨゴレの落とし残しがありません。
ヨゴレが気になる部分をお湯に浸し、アルカリ性の強い石鹸をヨゴレ部分につけ、ブラシでこすってしっかりヨゴレを落とします。こすりすぎると繊維をいためてしまうので、要注意。あとは手洗い、もしくは洗濯機で衣類全体を洗いましょう。ひどいヨゴレやシミの場合は無理に落とそうとせず、クリーニング専門店へ相談しましょう。

ご自宅で洗うのは難しいレザーやスエード製品の場合は、固く絞ったタオルやスポンジなどで、よごれやすい襟回りや袖口を軽くふきましょう。こまめに部分的なお手入れをすることで、革製品は綺麗な状態をキープすることができます。

■油溶性

食事や化粧品などの油溶性のヨゴレは、水洗いでは良く落とせません。石油系の溶剤で洗うドライクリーニングでのみ油溶性のヨゴレをきれいに落とすことができます。ヨゴレを放置すると酸化して変色を起こし、落ちづらくなったり、衣類の生地を痛めたりする原因になります。ついてしまったヨゴレは速やかにプロにお手入れしてもらいましょう。

洗濯表示タグ

水洗い時の注意点

■色落ち

たとえヨゴレ自体は洗える種類のものであっても、水洗いすると色物の衣類は色落ちの恐れがあります。

日本では色の硬さを表す等級が厳しく、欧州にはこのような規格がないため、海外製品は国内製品よりも色落ちしやすいケースが多いです。

ここで重要なのが、前回のARMANI Tipsで触れた洗濯表示タグです。ヨゴレを落とす前に裏地やポケットの中についている洗濯表示タグをしっかりと見て、最適なお手入れ方法を事前に確認しましょう。

前回のARMANI Tipsはこちらから

色落ちチェックの仕方

色落ちする可能性があるものは、少しずつテストを行い、色落ちしないかチェックしながら洗いましょう。高温の水で洗うと色落ちの危険性が高くなりますので、水の温度は注意が必要です。

■素材

しなかやで光沢のあるシルクやレーヨン、縮みやすく風合いの再現が難しい革製品はご自宅でのお手入れは非常に難しいため、信頼できるクリーニング店に託しましょう。

■加工

プリーツ加工やしわ加工のものは、自宅で洗うと加工が消えてしまい、特殊な加工を再現できない恐れがあります。特殊な加工を施している衣類は専門家へお任せすることをお勧めいたします。

ヨゴレやシミの種類、色、素材や加工などによってご自宅でお手入れできるもの、できないものがあります。ドライクリーニングでも汗などの水溶性のヨゴレは落とせないため、あらゆるヨゴレにたいして万能ではありません。そのため、洗えるものであれば、ご自身で洗うのが一番のお手入れ方法なのです。

ただし、自宅で落とすことが難しいヨゴレや素材のものは、無理して落とそうとすると衣類の生地を傷めてしまったりすることがあります。よごれは落とせても、それでは意味がありません。

本当に大切な衣類のよごれを、最少のダメージで落とすことができるクリーニング専門店の手を借りることも時として必要なのです。

大切な洋服をいつまでも美しい状態で着続けるために、それぞれに適した方法でお手入れし、次に着用するまで大切に保管しましょう。

次回は大切な衣類の保管についてご紹介いたします。

記事に関するご意見・ご感想は、info@giorgioarmani.co.jp

取材協力:株式会社レジュイール

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